EU規制で使えなくなる!?化粧品に多用されている揮発性環状シリコーン「D5」の国内外の動きと今後を徹底解説

今、世界の環境問題への対策をリードしているEU。世界各国のSDGs達成度ランキングでも、常に上位を独占しています。そのEUで今回、新たに規制をスタートしたのが化粧品における揮発性環状シリコーンの成分です。実はこの成分はさまざまなメリットがあり、化粧品にも多用されている化学物質。EU規制が今後、世界に広がっていくことが予想される中、日本での規制を視野に入れた各メーカーの動きも活発化しています。そこで今回はEUの規制内容と、規制される揮発性環状シリコーンの特徴などについてご紹介。国内外の動きや今後の展望、当社のD5フリーの取り組みなどについて解説します。
【この記事でわかること】
EUによるD5の規制概要と規制理由
揮発性シリコーンD5とは何か
世界に広がる国内外の動き
JBPのD5フリーの取り組み
JBPのD5フリー処方の紹介
EUの規制とは
SDGsを積極的に推進するEUでは、持続可能な社会を実現するために、さまざまな環境関連法による規制を行っています。そうした取り組みの1つとして、今回、揮発性環状シリコーンの規制がスタートしました。ここでは、その規制概要と規制理由について解説します。
EUの規制概要
今回の規制の基になっているのが、EUが制定した化学物質規制法である「REACH」です。これは、人の健康を守ったり、環境を保護したりするための規制で、すべての化学物質に適用され、リスクが管理できない場合には、物質の使用や取り扱いに制限をかけることができます。
EUでは2024年5月にREACHに関する規制を改正。化粧品における揮発性環状シリコーンであるデカメチルシクロペンタシロキサン(D5)とドデシルシクロヘキサシロキサン(D6)を対象に、2026年6月からこれらの物質の使用濃度を0.1%以下に制限しました。これまで、D5は洗い流す化粧品のみに規制されていましたが、これにより洗い流さない化粧品にも適用されることとなったのです。このため、2026年6月以降、EUでD5などの揮発性環状シリコーンの成分を含む化粧品の新規販売ができなくなります。
EUの規制の理由

ではなぜ、EUがここまで厳しい規制に踏み切ったのでしょうか。規制の理由としてEUでは、これらの物質が残留性、それから蓄積性が非常に高いという特性を持つ物質として特定しており、水系における生体への影響や大気などへの環境への影響を懸念したためです。例えば、家庭などで使用した揮発性環状シリコーンが河川に流され、微生物に蓄積。食物連鎖の流れで、どんどん生物に蓄積される恐れがあるということ。また、難分解性および毒性を持つ物質であるため、環境汚染、海洋汚染なども危惧されています。
欧州化学品長(ECHA)では、この規制により残留性および生態蓄積性の高いD5などの物質の排出量を最大90%削減することで、環境を保持することができると期待しています。
揮発性環状シリコーン(D5)って何?
このように規制が始まった揮発性環状シリコーンですが、この物質自体、あまり聞き慣れない方も多いのではないでしょうか。とはいうものの、D5をはじめとする揮発性環状シリコーンは化粧品で多用されているとても使い勝手の良い化学物質なのです。そこで、D5などの化学物質の特徴やメリット、使われている化粧品の種類などについてご説明します。
D5は使い勝手の良い化学物質
D5のデカメチルシクロペンタシロキサンの表示名称は「シクロペンタシロキサン」、D6のドデシルシクロヘキサシロキサンの表示名称は「シクロヘキサシロキサン」といいます。また、今回の規制には、D5やD6などが含まれた混合物の表示名称「シクロメチコン」も対象となっています。
D5に代表される揮発性環状シリコーンは無色透明で安定性が高いという特徴があります。D5は低粘度の揮発性オイルで、ほかの成分と混ざり合う相溶性にも優れており、均等に伸びる性質もあり、さらっとした感触もメリットといえます。また、適度な揮発性や潤滑性を持っていることから、油性基材、溶剤として多くの化粧品に配合されています。
化粧品にも多用されているD5

特徴やメリットをみてもおわかりの通り、D5などの揮発性環状シリコーンは安定性もあり、かつ使い勝手が良いだけに、多くの化粧品メーカーで多用されています。具体的には、耐水性や、化粧持ちを維持する日焼け止め製品やメーキャップ製品に使用されています。また、髪のツヤが出たり、クシ通りがなめらかになるヘアケア製品にも使用されています。このほか、化粧下地やクレンジングといったスキンケア製品、ボディケアやハンドケアなど、まさに肌に触れる多種多様な化粧品のアイテムに使われています。
世界に広がるEU規制の動き
環境への取り組みで世界をリードするEU。そのEUが規制に動いたことで、世界中から揮発性環状シリコーンへの注目が集まっています。日本のみならず、世界各国がどのような動きを見せるのか。今後、揮発性環状シリコーンへの対応が、ますます活発化することは確実です。
世界の動き
現在、揮発性環状シリコーンの規制はEUで発売される商品のみが対象となっています。しかし、EUの規定に準拠しているASEANや台湾では、早ければ1、2年のうちに同様の規制が施行されることが予想されます。
日本の動き
日本ではまだ規制の動きはありませんが、これまでの経緯をみても近い将来、日本がEUに追従する可能性は大きいといえるでしょう。とはいっても、D5に代表される揮発性環状シリコーンをほかのものに変えようとしても、現状では同様の特性を持つ原料がないため、できるだけ早めの対策が必須となります。
すでに各大手メーカーでは規制を見込んで代替原料、代替処方の開発に取り組んでおり、中にはD5処方フリーの製品を発売しているメーカーもあります。この原料の置換は難易度が高いことから規制がかかってからの対応では間に合わないため、日本でいつ規制されてもいいように、大手メーカーを中心に準備が着々と進められているのが現状です。
JBPにおけるD5フリーへの取り組み
化粧品の成分として使い勝手の良いD5に代表される揮発性環状シリコーンですが、先述したように、同様の特性を持つ原料がないため、原料の置換には難易度が高いのが現状です。このため、D5などと同様の効果を得るための製品を開発するには、高度な技術力やノウハウが必要となってきます。
当社では天然由来100%をはじめ、海洋環境に配慮したマイクロプラスチックフリー、界面活性剤フリーやフェノキシエタノールフリーなど、環境や肌に配慮した処方開発を積極的に行っています。こうしたさまざまなニーズに対応してきた実績や経験を生かして、早くからD5フリーへの取り組みも行っています。今後、規制への動向によってますます注目度が高くなることが予想される揮発性環状シリコーン。D5フリーへの取り組みについて検討される場合は、ぜひ、当社にご相談ください。
JBPおすすめのD5フリー処方
D5などの揮発性環状シリコーンフリーへの取り組みを行っている当社では、D5だけでなく、機能性は保ちつつ、環境や肌のことを考えたさまざまな成分フリーの処方をご提案しています。ここでは、D5フリーの処方を一部、ご紹介しますが。これ以外にもさまざまな処方があり、さらにオリジナル処方を提案することも可能ですので、まずは、ご相談ください。
ミストがジェルに変わる!【新体験】ノンケミカルジェリーUVミスト
D5をはじめ、フェノキシエタノールやパラベン、合成香料、界面活性剤など12の成分フリーのお肌にやさしい日焼け止めジェルです。幼児モニター試験実施済みなので、「1歳以上から使用できる」という表記が可能です(自社基準)。このほか、ヴィーガン対応、クルエルティフリー、石鹸で落とせるなど、環境や肌に配慮したジェルです。
ミストがお肌につくとジェル状に変わり、肌にピタっと密着。液だれしないので使いやすく、体はもちろん顔もOK。持ち運び、塗り直しも簡単で家族みんなで使える日焼け止めです。

SPF50+ PA++++ みずみずしく軽いつけ心地 ノンケミカルUVジェル
軽いつけ心地で汗や摩擦に強い、顔や体にも使える便利なUVジェルです。D5をはじめ、フェノキシエタノールやマイクロプラスチック、石油系界面活性剤など12の成分フリー。SFP50+、PA++++のUVカット値でありながら、石けんで落とせるのもポイントです。
独自技術により、紫外線吸収剤、シリコーン、マイクロプラスチックを配合せずに、さらっとした使用感、なめらかな伸び、透明感のある仕上がりを実現。成分のこだわりと使用感の両立を可能にした処方です。

耐水性★ウォータープルーフなのに、石けんオフ!ノンケミUV
D5不使用でありながら、水に強い耐水性を持ち、さらっと伸びて程よくしっとりする使い心地を実現したノンケミカルの日焼け止めです。D5以外にも、石油系界面活性剤や着色、エタノール、マイクロプラスティックなど10の成分フリー。外部試験によるパッチテスト済みで、ノンケミカルなのに白浮きせず、きしみやかさつきもありません。お子様はもちろん、ご家族みんなで毎日安心してお使いいただける日焼け止めです。

まとめ
今回は、あまり聞きなれないD5「デカメチルシクロペンタシロキサン」を取り上げましたが、実は化粧品業界とするととても重要なテーマです。EUがD5をはじめとする揮発性環状シリコーンの規制をスタートするのは2026年6月から。日本ではまだ規制の動きがないとはいえ、EUに追従した規制がかかるのは、もはや時間の問題といえるでしょう。そして、そのための準備は待ったなしです。化粧品に広く使われている物質だからこそ、規制になってからの対策では遅すぎるのです。
先述しましたが、難易度の高いD5の代替原料を開発するには、専門的な知識や、それに伴う開発力や技術力、積み重ねてきた実績、ノウハウなどが必要となります。当社ではD5はもちろんのこと、天然由来100%やノンケミカルなど、時代が求める化粧品処方をご提案。目まぐるしく変化する化粧品業界に迅速に対応しています。これから新たに化粧品製造をお考えの方はもちろんのこと、D5フリーなどこだわり処方をお考えでしたら、ぜひ、当社にお問い合わせください。
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